消費者金融大手のアイフルが過酷な取り立てや委任状偽造などの違法行為で、金融庁から全店の業務停止処分を受けた。福田吉孝社長は「成果主義を求め過ぎた」と弁明しているが、こうした違法行為に厳しく対処することは当然である。経営責任も重い。
同時に、アイフルの事例は特異ではないことも認識しておく必要がある。国民生活センターが多重債務問題で全国の弁護士や司法書士に相談に訪れた約600人を対象に実施した調査では、必要以上の借り入れを勧められたり、勤務先に取り立ての電話を入れられたケースが多数にのぼっている。
貸金業規制法には過剰貸し付け禁止や取り立て行為規制が盛り込まれているが、守られないケースが広く存在するということだ。
消費者金融も広い意味で、金融仲介機能を担っている。財務局や都道府県から登録を受けなければならないのもそのためだ。しかし、出資法に基づく上限金利が引き下げられて以降も、多重債務問題は解決していない。
最高裁は最近、利息制限法の上限金利を上回っているグレーゾーン(灰色)の利払いは、貸金業規制法のみなし弁済規定を厳密に満たさない限り無効との判決を相次いで下している。灰色金利に疑義を呈しているのだ。
消費者向けの貸金残高はこのところ横ばいとなっているが、05年3月末時点で19兆8500億円に達する。うち、11兆6700億円が無担保の消費者ローンである。消費者金融が健全であるためには、それを担保する施策を講じなければならない。
政府・与党は来年の通常国会にも貸金業規制法改正案を提出する意向だ。当面の課題である過剰融資・多重債務対策のみならず、消費者金融をはじめとした貸金業のあり方や、金利規制にも大胆に踏み込んでほしい。
まず、やるべきことは、信販会社やクレジットカード会社なども含めた貸金業者が法令を厳密に順守するための措置を講ずることだ。金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」では、過剰融資や違法行為を防止するため参入規制強化や業務改善命令の導入などの意見が出されている。法令順守意識の低い業者の参入を認めなかったり、排除することは当然である。
金利規制は出資法の上限金利を廃止し、利息制限法上限の15~20%に一本化することが適当であろう。国民生活センターの調査でも約9割の人が灰色金利の知識を持っていなかった。業界には出資法の上限金利での一本化の主張もあるが、消費者金融大手の調達金利はこのところ、2%を割り込んでいる。中小でも4%以下だ。年29・2%の出資法上限金利では国民の納得を得られるはずがない。
過剰融資の禁止にも実効性を持たせなければならない。そのため、業界の自主規制機能も高めなければならない。同時に、生活資金を消費者金融に頼り、多重債務に陥る事例が少なくないことをみれば、国や自治体の制度融資機能を高めることも検討すべきだ。
毎日新聞 2006年4月16日 東京朝刊
