金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」が21日、昨年3月以来の検討結果を中間整理として発表した。多重債務問題の解決・防止に向けた法改正などの施策が中心になっている。同時に、消費者向け無担保金融業者のみならず、信販やクレジットカード会社、リース会社も含めれば約43兆円(05年3月末)の融資残高となる貸金業の公正な市場形成などについても言及している。
貸金業には多重債務者多発やその裏側の過剰貸し付け、不適切な取り立て、利息制限法上限を上回るグレーゾーン(灰色)金利など、企業としてのあり方、法制度の両面で問題が多い。最近のアイフルの違法取り立てなどにもみられるように、十分な自浄作用が働いているとはみえない。小泉改革を評価している田中直毅21世紀政策研究所理事長も20日の懇談会で、再規制もやむを得ないと発言しており、放置できないのが実態だ。
まずやるべきことは、中間整理にもあるように過剰貸し付け・多重債務の防止だ。多重債務の出発点には消費者の無理な借り入れもあるが、それ以上に業者側に問題がある。必要以上の金額の借り入れや借入可能額引き上げを持ちかけられ債務を膨らますケースがみられるからだ。大手では顧客の借入先を3社までにするなど自主規制を実施しているが、中堅以下には及んでいない。低所得層では3社でも経過利息まで入れれば、20%台半ばの金利で返済困難に陥ることも少なくない。
現行の貸金業規制法でも過剰貸し付けは禁止されているが、罰則はない上、過剰とはどの水準かも不明確である。この点は、法改正などで明確にする必要がある。法令順守の徹底を図るためには参入規制の強化や監督手法の充実も当然のことである。
また、過剰貸し付けは経済学的には供給過剰の状況にあるから起きる。中間整理では灰色金利をなくし出資法の上限金利、年29・2%を金額により年15~20%となっている利息制限法金利に一本化することを提案しているが、業界は上限金利引き下げは、ヤミ金融の増加を招くと反論している。
しかし、ヤミ金被害は多重債務がきっかけになることが多く、金利と直接に結びつけるには無理がある。ましてや、中堅以下でも調達金利は4%程度だ。ところが、金利決定は市場ではなく、業者側が一方的に行っている。利用者は完全に受け身なことを考えれば、引き下げは正当である。
これまでの消費者金融の好業績は積極的な新規借入者の開拓や灰色金利を任意に支払うみなし弁済規定によっていた。しかし、最高裁は相次いでみなし弁済は厳格でなければ認めない判決を下している。需要者の視点に立った行政や業界の改革が求められているということだ。
自民党は秋にも貸金業規制法改正案などの国会提出を目指しているが、同時に、業界自身が透明性を高めなければならない。不透明さや灰色な部分を残していては近代的金融業とはいえない。
毎日新聞 2006年4月23日 東京朝刊
