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ストップ!!多重債務:/上 小学生から身に着けたい、お金に対する判断基準

 消費者金融など、複数の貸金業者から金を借り、返済に苦しむ多重債務者は、全国で200万人に達すると言われ、本人の自己破産や自殺などだけでなく、家庭崩壊といった悲劇をもたらしている。ギャンブルなど遊興費のために借金するだけでなく、不況による収入減から借りた金を生活費にあてるケースも増えているという。事態を深刻に受け止めた行政機関も動き始め、「子どものころからの消費者教育が大切」としてNPOが発足し、活動している。各地で行われている多重債務者にならないための取り組みを報告する。【遠藤和行】

 ◇本当に必要な物か--冷静に考える習慣が生活守る

 「ねえねえ、お母さん。ぼく、携帯が欲しい!」。小学生が同級生の携帯電話をうらやましがり、父母にねだるストーリーの朗読劇の一場面。

 熊本市に隣接するベッドタウン、合志市の児童館で、3月下旬、子育て支援グループなどが企画した勉強会には、小学生から高校生、母親の計30人が参加した。台本は多重債務に陥らないための啓発活動をしているNPO法人「お金の学校くまもと」の徳村美佳代表(43)が書いた。

 男児役を徳村さん、父母は2人の中学1年の男子生徒が演じた。父親役の男子は「ばってん悪い遊びとか覚えたらなあ……」、母親役は「うちの子だけ持っとらんと仲間はずれにされるかもしれんし……」と続けた。

 劇が終わると、徳村さんは参加者全員に、台本を配り、自分がおかしいと思った部分に傍線を引くように指導した。母親は全員が「仲間はずれにされるかも」の部分に傍線を引いた。しかし、子どもたちが傍線を引いた個所はばらばらだった。徳村さんは「君たちは携帯電話が必要かどうか、一人一人違ったモノサシを持っているんだ」と語りかけた。

 「『携帯が絶対に必要』と自信を持って言える人は、その理由を話して下さい」と問いかけるが、子どもたちは黙り込み、答えることができない。「携帯がどういうものか分からないから答えられないんだ」と言い、参加者と欲しい理由や、便利な点、どのくらいの金が必要なのかについて話し合いを始めた。

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 04年に発足した「お金の学校くまもと」は、消費者教育が活動の中心。こうした活動をメーンにしているNPOは珍しいという。設立のきっかけは、95年から5年間、熊本県消費生活センターで相談員をしていた徳村さんが、連日のように多重債務の相談を受けたことだった。相談を聞きながら、「本当に必要だったの?」「誰にも相談できなかったの?」「なぜ、借金を隠すためにお金を借り続けたの?」と問いかけたくなったという。

 徳村さんは「『収入の範囲で生活する。借金してまで買う必要がある物なのかどうかを判断する』という当たり前のことを子どものころから学ぶ必要がある。“お金”に対する自分自身のモノサシを持つためにも、携帯電話の問題は子どもにとって身近なテーマ。お金の使い方を含めて親子で話し合ってほしい」と訴える。

 ◇動き始めた「金銭教育」

 ◇10代向けにトラブル情報--冊子配布、講師派遣など

 NPO法人「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」(電話03・3500・5916)は昨年、主に高校生向けのテキスト「10代から学ぶパーソナル・ファイナンス」を作成し、希望する高校などに無料配布している。

 テキストは「もし、お金がなかったら」といった項目のほか、「多重債務に陥らないために」など金銭トラブルに関する情報も掲載し、消費者金融の金利などを解説している。要請があれば、学校単位で協会から講師も派遣する。これとは別に、今年度は東京、大阪、名古屋で各1回、教師を対象とした研修も実施する予定だ。

 日本銀行内に事務局がある「金融広報中央委員会」(電話03・3279・1111)は05年度を「金融教育元年」とし、全国27都市で金融トラブルをテーマにした公開講座を開催。事務局は「小学生も携帯電話などで社会とつながる。社会人になる前に、金融商品との付き合い方やトラブルを知って、自分の生活を守る必要がある」と話す。多重債務に陥らないための啓発テキスト「きみはリッチ?」も03年に発行し、無料配布している。

毎日新聞 2006年5月18日 東京朝刊


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